京都地方裁判所 昭和45年(手ワ)206号 判決
原告
堀仁一郎
被告
松本昇一
主文
被告は原告に対し金一一〇、〇〇〇円およびこれに対する昭和四四年一月二六日から支払済まで年六分の割合による金員を支払え。
訴訟費用は被告の負担とする。
本判決は仮に執行できる。
事実《省略》
理由
原告主張の下記一、二の事実は、被告において自白したものとみなす。
一、原告は、被告が振出した左記約束手形一通(本件手形)の所持人である。
金額 一一〇、〇〇〇円
支払期日 昭和四四年一月二二日
支払地、振出地 京都市
支払場所 株式会社三和銀行東寺支店
振出日 昭和四三年一二月一八日
振出人 松本昇一(被告)
受取人 高田
第一裏書人 高田鉄
第一裏書被裏書人 堀仁一郎(原告)
二、原告は、昭和四五年一月二五日、本件手形を支払場所に呈示して支払を求めたが、解約後の理由により支払を拒絶された。
手形の受取人の名称の記載として、受取人の氏のみの記載も適法であると解するのが相当であるから、本件手形の受取人欄の「高田」の記載は、受取人の名称の記載として適法である。
受取人(被裏書人)の記載と裏書人の記載とが正確に一致しない場合でも、主要なる点において差異がなく、社会通念上同一人の表示と認めうるとき、裏書の連続を肯定するのが裏書の連続の制度の趣旨から考えて相当である。
右の判定の基準に従い、本件手形の受取人「高田」と第一裏書人「高田鉄」との間に裏書の連続を肯定するのが相当である。
したがつて、原告は裏書の連続のある手形の所持人である。
よつて、本件手形金一一〇、〇〇〇円、およびこれに対する昭和四四年一月二六日から支払済まで年六分の割合による法定利息の支払を求める原告の本訴請求は正当であるから、これを認容し、民事訴訟法第八九条第一九六条を適用し、主文のとおり判決する。(小西勝)